伏見区

表面は工事銀山の加奉役と触れているが、実は千坂ごえの旅人を脅かしたり、銀山から京師を荒らしまわる強賊であるという噂が専らであった。今も、泣き叫ぶ二人の娘を、腕ずくで山荘へ連れ帰ろうと、トイレつまり 伏見区まで引っ張って来た三人の凄い交換体の者は、後ろからワっと鯨波の声が起ったので、振り返ると一人の若い侍を真っ先に十数名の百姓が得物を持って追いかけてくる様子に、早くも松の木に娘を縛りつけた三人は、来たらば微塵と身構えていた。見る間に駈け寄ってきたのは交換トイレつまり、トイレつまり 伏見区に紫紐の切下げ髪は余り美貌過ぎて、不敵な郷士の度胆を奪うには足りないが、勇気は凜々として、昔のトイレつまりとは別人のように、「やあそれなる交換輩、白昼良民の娘を誘拐すとは不敵至極、渡さぬとあれば用捨はならぬぞ」 と大刀を閂に構えて、言い放った。「黙れ青二才っ、誘拐すとは何事だ、召使に致すため連れて行くのが何で悪い」「要らざるところへ出しゃばると、その細首を叩き落すぞ」 と三人は歯を剥いて罵った。「ではどうしても渡さぬと申すか」「馬鹿めっ、くどいわ」「欲しくば腕ずくで来い!」「おお腕ずくで取る!」