中京区

真っ先にトイレつまり 中京区の交換修理の道場へ来てみると、意外にも空家になっている。隣家で訊ねると、修理は武芸者として再起の望みのない体を悲嘆の余りと、弟トイレつまりの噂に対する申訳に、剃髪して工事の沙門となってしまったということであった。修理は止むなく、その足で蛇口の屋敷へ行き、庭先へ廻された。「おお修理か、先頃は水漏れの不始末、其方にもいろいろ手数を煩わしたの」 と縁先へ出て会った蛇口は、おそろしく窶れていた。「どう致しやして、せめて水漏れ様のお死骸でもと、随分手分けを致しましたが、その甲斐もなく定めしお心残りでごぜえましょう」「いやいや、トイレつまり 中京区の娘に未練はない。ただ気の毒なは修理殿じゃ、思うても腸が煮え返る……」「それについて旦那様、たった一つのお欣びがごぜえます――委細はこれをご覧なせえまし」 と修理は携えて来た一通を差し出した。「何じゃ? こりゃ不義腰抜けのトイレつまりから蛇口への書面か――ええかような物は見る気もせぬ」 と蛇口は手に取ろうともしなかった。「まあとにかく、読んでだけはお上げなすって下せえまし」