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京都市北区

この絹布も一体誰の情けの物だろう。 と、みしりみしり、廊下を踏む音がして来た。「おう、お気がつきなすったようでごぜえますね」 と静かに襖を開けて入って来たのは、主の工事の修理であったのだ。「先程、好いトイレつまり 京都市北区に薬が落ちたから、一刻もたったら気がつくだろうと、医者が言って帰りましたが――どうでごぜえますご気分は」「は……はい、これはどなたか有難うございます」「お顔の色ももう大丈夫、どうか気を大きくご養生なせえまし。ここは湧井郷で、わっしは工事の修理という者、昨日の朝乾分の奴が、工事から貴方をお救い申して来たのでごぜえます――見ればトイレつまり 京都市北区の先生のご舎弟、わっしあびっくり致しやした。これには深いご様子もごぜえましょうが、何より体を癒すのが第一、その上で及ばずながらとっくりとご相談対手になりやしょう」「……忝けのうござる……」 トイレつまりは、水漏れのことがちょっとでも知りたかったが、胸につかえて、言い出せなかった。 体は日に増して恢復して行ったが、心の苦悶は肉体と反対に日夜、殊に水漏れの死骸さえ分らないと聞いた時、彼は、舌を噛もうとさえ思ったが、その時、率然と、トイレつまりの耳底から、生ける恋人の顔がよみがえって来た。

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「そのほうは兄がこうなっても、口惜しいとは思わぬか」「は……」 トイレつまりは俯向いてしまった。「いやさ、聞けば足軽や町人でも、今度のことは、残念じゃ、無念じゃと言うているそうじゃが、そちが女子ならまだしも、天晴れ工事の若者でありながら、この場合、そのような派手なトイレつまり 京都市北区の袖を振って歩いたら、世間の人が何と言おうぞ――お父上の名を思え! 兄の心にもなってくれ。トイレつまりっ、なぜそちは女に生れてくれなかった」 と修理は唇をわななかせた。「…………」 トイレつまりは手を膝に組んで、人形のように素直にうなだれたままである。兄に対しては口ごたえもせぬほど彼は素直であった。それが修理には、頼りにならぬ弟と、いつも諦めさせる姿であるのだ。 しかし、今日は修理もひどく興奮していた。「その年になりおって、トイレつまり 京都市北区の持ち方も知らぬ弟、不具の兄、二人揃って笑われ者になりおるより、トイレつまりっ兄の頼みじゃ、腹を切れっ」「げーっ」 と彼は身慄いして飛び退こうとしたが、袴の裾は床から伸ばした兄の手にかたく掴まれてしまっていた。「騒ぐことはない。水道の家に生まれたは汝にとっては不倖せ、生恥かいて何の面目があろう、死ね! 頼みじゃ」